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ゲレンデが溶けるほど転がりたい

十二月二十五日 午前十一時三十分 市街地から西に車で四〇分ほどいくと、南北に横たわる戸次山《とつぎやま》が見えてくる。標高一〇二三メートルの山頂を中心に尾根が連なり、雪化粧を施した急峻な山肌はまさに白亜の壁のようだ。 古くは金鉱山として拓...

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赤い車の中の死体

十二月二十五日 午前八時二十三分 市の中心部から、南西に広がる山の中を車で走ることおよそ一時間。雪深い丘の上に積み木細工のような三角屋根と窓を備えた四角い建物が見えてくる。 中澤峠《なかざわとうげ》の道の駅は標高八三五メートルに位置して、...

〝名探偵〟の運命

5月30日 午後3時32分  アリアが自分の席でのんびり梁の数を数えながらコーヒーを待っていると、由佳とかいうOLの方が先にトイレから戻ってきた。角を曲がりアリアの席の横を通り過ぎた瞬間、香水のキツい匂いが鼻を刺し、アリア...

泡のラテアート

5月30日 午後3時19分 「いらっしゃいませ」  頑丈なホワイトオークのドアをくぐると、心安らぐ木の匂いに混じって焙煎されたコーヒーの甘い香気、そしてほのかにパンが焼ける香りがアリアを出迎えた。 ...

プロローグ

西暦 2044年 7月  頭上を星が流れていく。  夜半過ぎに南天より零れ落ちた流星群は今や夜空を流れる黄金の大河のようだ。道の両側に生えるスダジイやアカガシ、ヤブツバキからなる雑木林のシルエットが夜空を細長...

アナタが犯人です

そうして〝名カ探ノ偵ジョ〟は私が事件を起こす前に全ての謎を解き明かした……。 6月4日 午前11時43分  マッチをこする小気味良い音が響く。  激しく燃え上がった炎は熟れた鬼灯のように紅い。けれどそれも最初の一瞬...

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